この世とあの世を貫く美しいメシアの世界観を邪魔するヤツがいた。
何枚目かのオルガン曲のレコード。
期待に胸膨らませ、ゆっくりと針を下ろした。
が、
見えない。まったく神の世界が見えない。
「楽譜通りの音」が聞こえてくるだけならまだ我慢もできるが・・・
楽譜にない装飾音から伝わってきたものは、自分の技巧を見せびらかす態度。
「これを演奏しているオレ様は偉い」
なんという「うぬぼれ天狗」でしょうか。
それによってバッハが伝えたかった神の世界が見えない！
まさに「皆既日食」のようなもの。完全に光を遮っている。
わずかな小遣いを貯めてやっと買ったレコードの恨みは食い物の恨みより大きかった。
そんな当時の自分に贈る言葉をあの映画から頂きました。
「こんなヤツのこと忘れて前に進みましょ！」